白桃のコンポート、リンゴの蜜、洋ナシ、ナッツのリッチでボリューム感のあるなめらかな舌触り。
早すぎず、遅すぎず、適正な時期に収穫されたブドウに根差した酸とミネラルにきっちりと支えられた味わいは、全体を通してきれいでクリーンな印象。
豪華な顔ぶれ
クリュ・チャーレは、経験豊かな2人のエノロゴ、クリスチャン・パタとピエル・パオロ・シルクを中心に、グラヴネールやロンコ・デル・ニエミツの栽培責任者であるマルコ・シモニ、そしてワイン商のグラウコ・ラヴェッロの4人のプロフェッショナルにより結成されたワイナリーである。醸造責任者であるクリスチャンは、ミアーニのエンツォ・ポントーニと親交が深く、フリウリにネコティウム社を構えて自らワインを手掛ける一方、イタリア各地の優れた生産者を発掘する敏腕エージェントとしても知られている。畑の世話を受けもつピエル・パオロは、ガヤのコンサルタントを務める等、フリウリ内外で活躍するエノロゴであり、彼の兄弟のルカ・シルクもまた、クリスチャンとともにクリュ・チャーレの醸造に携わっている。
可能性を引き出すプロの仕事
優れたポテンシャルを秘めているにもかかわらず、放置されたままの数々の畑を目にしたこの専門家達が、フリウリのテロワールの可能性を実証すべく、1997年にたった5樽のシャルドネからこの新しいプロジェクトはスタートした。畑はコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ地区に位置しており、グランクリュとも言えるロザッツォ、同じく偉大で大らかなブットリオ、晩熟の地サン・マウロ等からのブドウが用いられる。収量は厳しく制限され、発酵にはフレンチオークの2年樽と3年樽を使用。二酸化硫黄の使用を極力抑えるため、ワインと澱を長期間接触させる等の工夫を凝らしている。
経験を重ねるごとに、「フリウリの多様なテロワールの個性を表現するためには、どのテロワールにどのブドウ品種が最適か、つまりどのブドウをどこで育てるかが重要だと学んだ」というクリスチャン。何ら制約に縛られない彼らのワインは、独自の『フリウリらしさ』の表現を求めて進化を続けている。現在も総生産本数が1万本に満たないため、ほとんど市場に出回ることはなく、またメディアへの露出も行っていないため、現地以外ではほとんど見かけることのない稀少なワインである。尚、2007年まで醸造はシルクのセラーにて行われていたが、2009年よりロンコ・デル・ニエミツのセラーが使われている。畑とセラーの距離が近くなったため、これもまたクオリティの更なる向上につながっている。
Chardonnay / Cruchale