国際品種のソーヴィニョン、シャルドネと、キアヴェンナスカ(ネッビオーロ)などから造られる白ワイン。
新樽と2年目のフレンチオークのバリック(小樽)で発酵後、熟成させました。
凝縮感や厚みのある味わいとボディを持ち、エレガントな風味とトロピカルフルーツやスパイスが感じられます。
“カ ブリオーネ”は畑名です。
【生産者紹介】ニーノネグリ
小さな段々畑が続くヴァルテッリーナのブドウ栽培
東西に広がるヴァルテッリーナ渓谷は、コモ湖の北、ソンドリオ県に位置しています。
ヴァルテッリーナ渓谷の特徴である段々畑は、南向きの谷底を見下ろすように北側斜面に広がり、海抜は谷底の315mから高いところで900mまでと幅があります。
この段々畑は、数千年前に作られた袋小路のようなブドウ畑を、無数の壁が支えている構造(乾式石垣)となっており、現在も手を加えながら使用されています。
急傾斜のため極めて小さな段々畑しか作れず、また、あまりにも傾斜が急なため、トラクターなどの重機が入れず、畑の手入れから収穫まで、多くの人手を必要とし、収穫期にはヘリコプターも用いられます。
土壌は、泥を含んだ砂質で、水はけがとてもよいため、表層の土壌は常に乾燥しています。
このためにブドウ樹は水源を求めて地中深くに根を伸ばし、結果として地中から良質なミネラルを吸収します。
またヴァルテッリーナの渓谷の急斜面は、一般的な丘陵地帯のブドウ畑と比較しても、その高低差からブドウ樹1本1本が得る日照量が多く、ブドウが健全に生育します。標高の高さがもたらす昼夜の寒暖さも、ブドウに良質なアロマ・華やかな香りを与えるという意味でワイン造りに最適と言えます。日当たりによって得られる優美な果実味と豊かなアロマがヴァルテッリーナ渓谷のブドウに特有の長所を与えているのです。
さらに、このような厳しい環境にあっても、ニーノ・ネグリ社では研究を続け、ブドウのさらなる品質向上に努めています。
ブドウ樹は、南北、東西いずれの方向にも植えることができますが、植樹の向きによってブドウ樹が受ける日照量が大きく変わるため、ミラノ大学のミラノ樹木栽培機関の研究を元に、方角を東西に確定しました。
東西に植樹すると、朝と夕方の日照量は平均的な量にとどまりますが、ヴァルテッリーナのこの時間帯はもともと気温が低く適正な光合成を促すには不十分であることが多いため、この時間帯の日照量が少なくてもさほど問題にはなりません。一方で、気温が最も上がる10~14時の間に、日照量が最大になるため、活発な光合成を促すことができます。こうやって、ヴァルテッリーナ渓谷の強みともいえる日照量を最大化する方法を研究し、自社ブドウのさらなる品質向上に努めているのです。
ヴァルテッリーナを代表するワイン”スフルサート”
ヴァルテッリーナの伝統的なワインの一つに、スフルサートが挙げられます。スフルサートとは、イタリア語で「強化する」という意味です。
スフルサート・ディ・ヴァルテッリーナD.O.C.G.は、規定により、収穫した重量の30%分の水分を乾燥させたブドウを使って醸造することが定められています。
2~3ヶ月かける乾燥工程でカビの発生、腐敗せずに凝縮したブドウにするためには、健康なブドウを厳選する必要があります。ニーノ・ネグリ社では、粒がまばらで密集していない健康なブドウ(糖度18~20%程度)を慎重に選別して収穫し、収穫後から翌年の1月末まで、ヴィンテージによっては2~3月頃まで、木箱ブドウを並べて重ね、風通しの良い部屋で乾燥させてブドウの糖度を高めます。
自然に陰干しして、糖や旨みを凝縮させたネッビオーロ(キアヴェンナスカ)から造られるのが、アルコール度数が高く凝縮した味わいが魅力のスフルサート・ディ・ヴァルテッリーナです。
エノロゴ カシミーロ・マウレ氏の功績とこれからのニーノ・ネグリ
長年、ニーノ・ネグリ社のエノロゴを務めたカシミーロ・マウレ氏は、フラッグシップの“チンクエ・ステッレ”スフルサート・ディ・ヴァルテッリーナを生み出し、このワインが世界で高い評価を受けたことからヴァルテッリーナという産地が注目を集めました。
マウレ氏は、トレンティーノ出身、アディジェ県のサン・ミケーレ醸造学校卒業後の1971年に、当時ニーノ・ネグリ社社長だったカルロ・ネグリ氏と出会い、ヴァルテッリーナでのワイン造りが始まります。
ニーノ・ネグリ社は1986年、イタリア最大のワイナリーグループ、グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニの傘下に入り、豊富な資金力を元に新たな機材の投入や、新しい醸造方法
を試みました。
そして、ガンベロ・ロッソ1994年度版で、1989年ヴィンテージのチンクエ・ステッレ・ヴァルテッリーナ・スフルサートがヴァルテッリーナワインとして初めてトレ・ビッキエーリを受賞、その後もトレ・ビッキエーリを連続受賞し、ガンベロ・ロッソ2004年度版では、赤ワイン・オブ・ザ・イヤーを受賞するに至りました。
マウレ氏自身は、1998年イタリア共和国騎士勲章、2002年にはヴァルテッリーナにおけるブドウ栽培・ワイン醸造の発展を推進したことを称えて、ロンバルディア州カンググランデ賞(醸造家勲功章)などの賞を受賞し、ガンベロ・ロッソ2007年度版において、年間最優秀エノロゴに選出されました。マウレ氏が率いるニーノ・ネグリはヴァルテッリーナを代表する優秀な造り手として広く知られ、ヴァルテッリーナのワインが世界へ広がる礎を築いたといっても過言ではありません。
そして、ニーノ・ネグリ社創業120年を迎えた2018年、マウレ氏から、ニーノ・ネグリ社のエノロゴの仕事を引き継いだのが、ダニーロ・ドロッコ氏です。
ドロッコ氏は、1965年クーネオ生まれ、トリノ大学で醸造学を学び、30年以上にわたり、ピエモンテ州の著名なワイナリーにて、醸造に携わり、責任ある役割を担ってきました。ピエモンテでのネッビオーロ種の醸造経験を、ヴァルテッリーナに持ち込み、ニーノ・ネグリ社の生み出すワインのさらなる進化が期待されています。
Ca’ Brione Alpi Retiche / nino negri