半分が30年以上の古樹、半分が6年程度の若樹となっている。
時間が経つにつれ丸くとろりとした質感とリースリングのような香が出てくる。
発酵から熟成まで全てステンレスタンク。低温醗酵で葡萄本来の香を損なわないよう細心の注意を払う。
酸化防止剤にに関しては発酵時の添加は無し、瓶詰め時に極少量の添加に抑えている。
【生産者紹介】ラ・モナチェスカ
山のヴェルディッキオ
ロンバルディア出身のベネディクト派の僧侶が旅の途 中、マテリカの町の郊外の丘の上に教会を建て、そこ を「モナチェスカ」地区と名付けた。 1966 年「カシミーノ・チフォラ」がこの丘を買取り、丘 の斜面に葡萄を植樹。醸造所を建設した。地名をと って名前は「ラ・モナチェスカ」とした。
『マテリカの歴史はカステリ・ディ・イエジより古い。交 通の便が悪いので長い間流通できなかった』
初ヴィンテージは 1973 年。1982 年には現当主「アルド」が参加し、醸造面を大きく改善した。彼の参加 によってワイン造りは一気に質に向かう。
『マテリカは内陸で標高が高いので冷涼ながら日照 量は多く、乾燥している。土壌のミネラルも多いので 長期熟成向きのワインを造りたかった』
当時、無名だった「マテリカ」。既に人気の産地となっ ていた「カステリ・ディ・イエジ」との違いを活かし、「マ テリカ」の個性を追求していった。 アドリア海から海洋性気候の影響を大きく受ける「カ ステリ・ディ・イエジ」に比べ、60km 内陸に入った「マ テリカ」は山に囲まれ内陸性の気候。
『マテリカの標高は 400~500m。冷涼で乾燥してい る。湿気を含んだ海風は山に遮断されて届かない。 カステリ・ディ・イエジは標高 250m。全く違う』
優れた産地ながら規模が小さく山に囲まれていて物 流条件が悪いことがマテリカの普及を妨げた。
元塩田だった畑のミネラル
『元々塩田だった場所。表土は灰色がかった粘土質 だがマンガンを多く含む層が厚く存在する』
シャブリのヨード感にも似ている独特のミネラル、塩っ 気は土壌のミネラルに由来する。「カステリ・ディ・イエ ジ」には無い「マテリカ」だけの個性。
『平均樹齢は 35 年。高樹齢から密度の濃さ。土壌 から味わいの多重性。南斜面から強い果実感。そし て、昼夜の温度差から高い酸度を得ている』
アルプス山脈の麓シッビリーニ山と丘に囲まれ、コロ シアム状になっているので日中の気温は高い。 夜間はアルプスからの風で葡萄畑は一気に冷やさ れる。夏場でも気温差は 20 度を超える。 ヴェルディッキオにとって最高の条件。
彼等は「マテリカ」の塩分を感じさせる程のミネラルと高い酸度を活 かしたワインを造り続けている。
『マテリカは酸も骨格もあるので熟成できる。ミルム は 15~20 年熟成する。熟成したマテリカはリースリ ングのようにペトロール香が出てくる』
10月後半収穫“ミルム”
樹齢はベースの「ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ」で も 30 年を超す。非常に高い。「ミルム」の畑は樹齢 50 年を超える樹もある。
『ヴェルディッキオは勿論、シャルドネに関しても品種 由来の香を最大限表現しいので、一切木樽を使用 しない。ステンレスのみで熟成』
発酵は小型ステンレスタンクで行い、発酵終了後に 何度か移し替えを行い自然に清澄。熟成は 4,000 リ ットルの大型ステンレスタンクで完結する。 収穫は「カステリ・ディ・イエジ」が 9月初旬なのに対し て 10 月初旬。収穫は全て手作業。選別と同時に極 めて軽いプレスをかけて発酵槽へ。 収穫時に亜硫酸は一切使用しない。発酵は 15 度か ら始めて 28 度を超えないようにする。
■リゼルヴァ・ミルム
『リゼルヴァ・ミルム 10 月の最終週まで収穫を遅ら せて完璧に熟した葡萄だけを使う。年によっては貴 腐菌が着くこともある』
葡萄が熟してから 2 週間待ってから収穫。軽くプレス しながら 20 日間のマセラシオン。収穫が遅いので既 にセラーは寒くなっている。 発酵はゆっくり進み、マロラクティックは暖かくなるまで 起らない。春先までシュール・リー状態を保つ。
『マロラクティック発酵は 5月頃、暖かくなってから自 然と始まるのを待つ。よって例年、発酵完了まで 9 ヶ 月間もの時間がかかる』
18 ヶ月の熟成後、ボトリング。遅摘みのニュアンスは 香に充分出るが味わいはドライ。骨太で密度の濃い ワイン。
3 年程度熟成してからが面白い。
verdicchi di materica / la monacesca