ネレッロマスカレーゼ種を使ったロザート。
破砕のあと24時間マセレーションにかけ、プレスにより取り出したモストを50hlのステンレスタンクにて発酵。
その後6ヶ月タンク内にて寝かせてからボトリング。
軽くオレンジ色を帯びた、澄み切ったピンク色。
イチゴやチェリーの様な軽やかな澱みの無い果実味が印象的。
山岳的コシの強さを持つエトナのロザートと比べて、明らかにしなやかさが出ている。
あくまで土地の違いであるが、その個性は実に明確になってワインとして表れている。
どちらが良いとかではなく、ネレッロマスカレーゼのポテンシャルを引き出した結果と言えるのは間違いない。
潮を感じるロザートとしてのクォリティは実に見事。
エビの塩焼き、タコとセロリのサラダなどと合わせて。
rosa dei venti / Tenuta Gorghi Tondi
【生産者紹介】ゴルギ・トンディ
シチリアは西部、トラーパニから南に30分ほど行った港町「マツァーラ・デル・ヴァッロ」。
ゴルギ・トンディはここから車で10分程の場所に位置しています。
もとはトラーパニの銀行家であった祖母が、WWFの環境保護地区となっている自然公園を買い取ったのが始まり。
この湿地付近は一般的なシチリア島の乾燥したイメージとは異なり、草木や水草が生い茂る水辺を中心とした生き物の生活環境を形成しており、ラムサール条約にも登録されています。
その特異な環境が土壌にも影響を与え多くのミネラルやその他有機物を含む土地を生み、また湿地から数キロ南に進めば海に出る為、海からの栄養も重なる豊かな土壌を形成している特徴があります。
ゴルギ・トンディそしてラムサール条約やWWF、イタリア政府の指定により環境保護地区となっている為、農業においても特に湿地付近は農薬などの使用は厳しく制限されています。
シチリア島の気候は夏に暑く冬も比較的温暖というものですが、昨今の地球規模の温暖化の中で夏の暑さが厳しく、それはワインにおいても深刻な問題でもあります。
しかし、この地の環境は上記の通り豊かな湿地と海からの風により夏でも33度程度、冬は5度を割らないという穏やかな気候であり、ワイン自体も必要以上に強烈な味わいを全く求めておらず、むしろ透明感と穏やかな飲み口を持った内容となっています。
素朴、というよりは洗練されたワインに仕上げているゴルギ・トンディですが、特徴的なテロワールを十分に表現している素晴らしいワインばかりです。
シチリアらしい過度な凝縮感を避けた瑞々しい味わいは、土地を表現した彼らならではの哲学。
ぜひ一度お試しくださいませ!