ディナーヴォロのセカンドワイン「ディナヴォリーノ」。
畑の下部は土壌が水分を多く含む為、葡萄も水分を多く含んでしまう。
そこで下部の水分の多い葡萄のみで造ったのがこのワイン。
葡萄の皮に含まれるタンニンや香味成分を引き出す長いマセレーションは、複雑味を与えるだけでなく、そこで抽出された複数の要素が安定剤の役割を果たす。
発酵・熟成ともにステンレスタンクを用いるのはフレッシュな果実味を長く保存する為。
【生産者紹介】デナーヴォロ
『ラ・ストッパではできないこと』に挑戦
密閉タンクで長期マセラシオンすることで嫌気的環境になるが、それこそがワインにシリアスさを与えてくれる。ラ・ ストッパの完成された味わいとは別の魅力。
ジュリオ・アルマーニ
『デナーヴォロは悪魔を意味する。悪魔と名付けた のは通常のワインとは全く違うワインだという意味 を込めている』
「ラ・ストッパ」で 30 年以上に渡って栽培・醸造を手 掛けている「ジュリオ・アルマーニ」。彼が「ラ・ストッ パ」の名声を高めたと言っても過言ではない。 地品種を使った伝統的なワイン造りで知られる「ラ・ ストッパ」。造られるワインは勿論、赤が中心でこの 地の伝統的なワインに限られる。
『ラ・ストッパではある程度の生産量をキープしなが ら伝統とスタイルを継承しなければいけない』
「ラ・ストッパ」は大人の味わいを持った完成されたワ インであるべき。しかし、ジュリオは醸造家としての挑 戦がしたくなっていく。 そして、ピアツェンツァの「トラヴォ」地区に葡萄畑を 購入。白品種マルヴァジア、オルトゥゴ、マルサンヌ を植樹し、ワイン造りを開始。最初の 3 年は「ラ・スト ッパ」で醸造、熟成していた。
『元々農学の専門家。ラ・ストッパでも元々醸造家 ではなく、栽培責任者だった。毎年、醸造を体感し、 学び、醸造に興味を持った』
彼を慕う人は多い。「ラ・ストッパ」を間借りして醸造・ 熟成している「アルベルト・アングイソッラ」もその 1人。 「ダリオ・プリンチッチ」「ルカ・ロアーニャ」や「エリザベ ッタ・フォラドーリ」も「ジュリオ」のファン。 「ラ・ストッパ」当主の「エレナ」とは 30 年以上の付き 合い。そして奥さんはブルネッロの造り手「イル・コッ レ」姉妹の妹。優しく穏やかな人柄。
リスクをとった攻めの醸造
「ラ・ストッパ」でも「ジュリオ」はワイン造りの全権を任 されているが、規模も大きいので極限まで攻めたワ イン造りはできない。
『全てのワインがヴィネガーになってしまうかもしれな いリスクはラ・ストッパではとるべきじゃない。デナー ヴォロではリスクをとれる』
ワイン造りはどこまでリスクをとるかが「ラ・ストッパ」と 「デナーヴォロ」の差。 30 年「ラ・ストッパ」で働いた「ジュリオ」が理想を追っ てリスクをとったのが「デナーヴォロ」。
『雨に悩まされた 2013 年、カタヴェラは水ぶくれし た葡萄も全部使った。アルコールは 11%までしか上 がらなかったが飲み心地の良いワインができあがっ た。ヴィンテージそのもの』
「マッキオーナ」のような偉大なワインはなかなか出 てこない。しかし、2006 年のように全てが揃った年 の「ディナーヴォロ」には本当に驚かされる。
嫌気的環境で長期マセラシオン
ヴィンテージによるが 30~100 日間果皮、種子ごと タンクの中で漬け込んでいる。
『長期マセラシオンとしては珍しくステンレスタンク で発酵、熟成させる。嫌気的な環境が還元状態を 作りだし、これがワインに厳しさを与える』
長期のマセラシオンは危険も多い。最終的に要素が 抽出されきった果帽は水分が残る。この部分はアル コールが少ないので酢酸が発生しやすい。
『果帽ごと取り除くのが常識だが、僕は最後に混ぜ 込んでから果帽を引き上げる。ある程度の酢酸や 揮発酸はワインに個性を与えると思う』
同じ醸造家が長期マセラシオンを施した「ラ・ストッ パ」の「アジェーノ」とは大きな違いがある。
『アジェーノには揮発的な要素は全く存在しない。 果実由来の紅茶やオレンジ、マンゴーの風味は葡 萄由来。ディナーヴォロはもっとシリアス』
畑は極力負担をかけない最小限の栽培を心がけて いる。特に葡萄樹を含めた畑の生態系本来のバラ ンスを崩さないことに気を使っている。 その為、「ラ・ストッパ」同様、下草を生やしたまま(不 耕起)で栄養分が足りなさそうに見えても簡単に施 肥しない。 樹齢が高くなれば自然と収量は減る。よって芽かき や摘果も必要ない。収穫の時期さえ的確なら凝縮 した葡萄を得ることができると考えている。 畑ではボルドー液以外の一切の農薬、除草剤、防 カビ剤などを用いず、徹底した自然農法を実践。 醸造時も酸化防止剤をはじめ、いかなる添加物も 使用しない。
(輸入元資料より引用)
dinavolino/ denavolo