サン・ジョヴァンニ・アル・ナティゾーネ、ブットリオ、コルノ・ディ・ロザッツォからのブドウを使用し、ヴィンテージに応じて最終的なブレンドを決定している。
平均樹齢は約20年、土壌はポンカ主体。白桃やフレッシュなハーブの香りに続き、オレンジピールのニュアンスも現れる。
タイトな味わいは時間とともに華やかな芳香をまとって上方向へ広がる。フィニッシュではきりっとした酸が味わいを引き締める。
Sauvignon Serena Palazzolo e Figli / Ronco del gnemiz
【生産者紹介】ロンコ・デル・ニエミツ
イタリアの主要ワインガイド、エスプレッッソ誌が「毅然としたカリスマ的な生産者」と評するロンコ・デル・ニエミツは、スロヴェニアとの国境に近いフリウリ東部に位置する。
1964年にエンツォ・パラッツォーロが醸造所を購入し、1982年に初めてロンコ・デル・ニエミツとしてワインをリリース。
1990年代半ばに醸造所を受け継いだ娘のセレーナが現在、パートナーのクリスチャン・パタや息子たちとともに栽培・醸造の全てを手掛けている。
ニエミツの畑があるロザッツォは、セレーナと親交深いミアーニやメロイの本拠地ブットリオと並ぶコッリ・オリエンターリ最高のエリアである。
このふたつの地区はどちらもD.O.C.の南部にあり5km程度しか離れていない。
ともに土壌はポンカと呼ばれる泥灰質であり、長熟なワインを生む力があるが、それぞれのキャラクターは大きく異なる。セレーナによると、ブットリオは早くから訴えかける魅力があり、果実も開いている。白は極めてリッチ、赤もふくよかでベルベットのようなタンニンが豊富だ。
一方、ロザッツォはより厳粛なキャラクターであり貴族的。
白はより酸が高く、香りは繊細、果実が現れるのにも時間がかかる。
赤は香りに土っぽさと、どこかボルドーに共通するニュアンスを備えている。両者は気候に大きな違いがないため、おそらくこれはロザッツォの方が土壌に粘土を多く含むせいだろうと、彼女は分析する。
栽培は長年ビオロジックで行っており、一部ビオディナミも導入している。
フリウリの気まぐれな天候の前では、これは容易なことではない。
冬は非常に寒く乾燥しており、春は暖かで雨が多い。
夏は昼夜の寒暖差が大きく、8月は時折大雨に見舞われる。
地元でボラやボリーナと呼ばれる風が畑を乾かしてくれるが、そうでなければブドウの樹も土もずぶ濡れのままだ。
この土地では、健全なブドウを得るために綿密なブドウの世話が欠かせない。セレーナはこの基本にこれ以上ないほど忠実だ。
「丁寧に、誠実に土地と向き合い最善を尽くせば、その土地は答えてくれる」と彼女は語る。
時には厳しい判断も辞さない勇気がなければ、この土地で偉大なワインは造ることは出来ないという。
あるがままの自然を受け止め、頑なに尽くす。
農民としてのシンプルなその姿勢は、誠実なワインの味わいからも感じることができる。
セレーナのワイン造りで最も特徴的なのは、少量ずつ様々なキュヴェをリリースすることだ。
どんな小さな区画も別々に醸造され、それぞれの独自性が各ボトルの中に表現される。
テロワールの違いにこだわる彼女ならではのラインナップである。各区画は0.5ヘクタールにも満たないものが多いため、各キュヴェの生産本数は少ない。
全てを手に入れることは非常に困難だが、プロ・アマ問わず、ワインに造詣が深いがまだこの生産者を知らない人に黙っておすすめできると称される、イタリアでも数少ない造り手の一人である。