皆様、こんばんは。
姉妹店レストラン・ヴィノテカサクラの荒井です。
普段、レストランでサービスをしていると、
時々お客様から、こんな質問を頂くことがあります。
「ワインのブドウ品種って、食べたら美味しいの?」
確かに、まだまだワイン産地の少ない日本では、ワイン用のブドウ畑を見る機会というのは少なく、
実際に食べたことのある方もごく稀であると思います。
しかし、私たち日本人にとって、あまり馴染みのないワイン用ブドウですが、
実は、今日世界各地で生産されているブドウのおよそ80%がワイン用ブドウだと言われています。
驚くことに、食用ブドウよりも圧倒的に多いのです。
では何によって区別されているのか、
まずはその違いについてお話しします。
ワイン用ブドウは「ヴィティス・ヴィニフェラ」と呼ばれるヨーロッパ由来の品種で、
主に食用ブドウとされるものは「ヴィティス・ラブルスカ」というアメリカ系のブドウ品種です。
生物学上では違う品種にあたります。
ちなみに「ヴィニフェラ」は「ワインにする」と言う意味で、
まさにワイン造りの為のブドウとして位置付けられていることがよくわかります。
同じブドウとは言え、この二つの品種の特徴には様々な違いがあります。
まず最もわかりやすいのが、その粒の大きさです。
食用ブドウの粒は大小様々ですが、近年では粒を大きくする品種改良が進んでおり、大粒のものが増えています。
それに対してワイン用ブドウは、概して粒は小さいです。
小さい粒である方が凝縮感があり、ワイン造りに適しているのです。
大粒の食用ブドウはみずみずしく、食べると美味しいですが、その水分量はワイン造りにはかえってデメリットになってしまいます。
次に、皮の厚さと種の量です。
食用ブドウは、剥きやすいように皮が薄く、食べやすいように種は少ないものが多いです。
最近では種の全くないブドウも、珍しくはなくなりました。
一方でワイン用ブドウは、皮が厚く、種が大きいものが、ワイン造りにとって良いブドウであるとされます。
これは、ワインにとって不可欠であるタンニンが、皮や種に含まれており、
さらにブドウの皮にはワインに鮮やかな色を付ける色素や、香味成分が多く含まれていることに由来します。
食べるうえでは邪魔だと思われがちな皮や種ですが、
ワイン造りには、重要な役割を担っている要素の一つなのです。
そしていよいよ本題の、「食べたら美味しい」かについてお話しします。
結論から申し上げると、、
「美味しいです。」
というかとにかく甘い。
実はワイン用ブドウは、食用ブドウよりも糖度が高く、
加えて粒の実の中には、香味成分、酸味がぎゅっと凝縮されているのです。
糖分はアルコールへ変わる大きな要素である為、ワイン造りにとって必要不可欠な存在。
ワインが甘くならないのは、醸造の過程で糖分がアルコールへ変化するからです。
しかし、良質なものほど、皮が厚く、種も多い為、
その食べづらさは正直食用としてあまり優秀とは言えなそうです。
一般的に甘みが少なく、渋みや酸味があるワイン用ブドウは、
それ自体は美味しくないと思われがですが、
実はワイン造りに重要な糖度や、香味成分、酸味などが凝縮していることで、
そのままでも食べられてしまうのです。
ワイナリーに行く機会があれば是非、一粒食べてみてください。
ではまたチャオチャオ。