年間4億本を生産するスパークリング「プロセッコ」とは?
プロセッコとはヴェネト州で生産されるイタリアを代表するスパークリングワインのこと。
グレラ種という白ブドウ(以前はプロセッコと呼ばれていた)で造られる爽やかな白ワインで、非発泡のスティルワインや微発泡のフリッツァンテもあるが、ほとんどは発泡性のスパークリングワインです。
白桃や白い花を思わせる華やかな香り、シンプルながらもフレッシュで軽やかな味わいが食前酒に最高で、手頃な価格であることもあって世界的な人気を誇っており、今や年間生産量は4億本を超えています。
写真左がプロセッコDOC(マルスレット社)、右がコネリアーノ・ヴァルドッビアデネDOCG(マンツァーネ社)
プロセッコDOCを生産している地域は広く、ヴェネト平野部からフリウリ=ヴェネツィア・ジュ―リア州にまで及びますが、ヴァルドッビアデネ村とコネリアーノ村の間に広がる丘陵地帯で生まれるプロセッコはワンランク上の切れ味をもち、原産地呼称もDOCGとなります。
カジュアルさの秘密「シャルマ方式」
スパークリングワインの製法の中で最も有名な製法はフランス、シャンパーニュで造られている「瓶内二次発酵」と呼ばれる製法ですが、プロセッコが採用している製法は「シャルマ方式」と呼ばれる作り方です。
瓶内二次発酵式が1本ずつ瓶内で長い時間をかけて泡を造りだすのに対し、シャルマ方式はワインを作ったステンレスタンクの中に糖分と酵母を投入し、一気にまとめて発酵(二次発酵)させてスパークリングワインを造りだします。
初期投資はかかるものの、一度に量を造ることができるので、大幅なコストダウンと大量生産が可能となりました。
瓶内二次発酵で生成されるトースト香や熟成香といった複雑さは生まれないですが、生き生きとしたフレッシュさと軽やかな口当たりは、日中や食前酒など軽く飲みたい時にも最適で、プロセッコ人気の土台となっています。
余談ですが、この方式を考案したフランス人「ユージン・シャルマ―」の名をとって「シャルマ方式」と呼ばれることが多いですが、イタリアではユージンに先駆けて特許を取得したイタリア人「フェデリコ・マルティノッティ」の名前を取って「マルティノッティ方式」と呼ばれることも多いです。
人気急上昇?!2021年公式リリースされた「プロセッコ・ロゼ」
プロセッコDOCでは以前からロゼタイプのワインも造られていましたが、DOCとは名乗れず「スプマンテ・ロゼ」などの名称で呼ばれていましたが、世界的ニーズに応える意味でもプロセッコDOC生産者協会が新名称の使用をEUに申請。
2019年の収穫分から正式にプロセッコDOCロゼとして販売が可能になりました。
従来の規定ではグレラ85%に、黒ブドウはピノ・ネロを含むその他品種を15%まで混ぜることができましたが、今回の新たな規定では、黒ブドウの使用が「ピノ・ネロのみ15%まで」が義務付けられました。
「なぜ土着品種のラボーゾではなく、国際品種のピノ・ネロを使用するのか?」
「プロセッコ・ロゼなんて商業的生産が目的で、本当のプロセッコではない」
などの賛否両論もあったよう。
しかし繊細なピノ・ネロはグレラの特徴を大きく邪魔される事なく、見事に融和しており素晴らしい味わいに仕上げていますし、世界的な需要に応えるという意味では「商業的」とも言えますが、クオリティをしっかりと維持しているのはヴェネト州の素晴らしいところです。
生産本数は2020年が1600万本程度でしたが、2021年は3倍近い5000万本数に届く勢いの急上昇振り。
今後は生産数が拡大する事でのクオリティ維持が課題となりそうです。
ガンベロロッソでのプロセッコ・ロゼ比較試飲
2021年12月。
ワインやレストランの評価誌であるガンベロロッソによる「プロセッコセミナー」に参加しました。
テーマは「プロセッコ・ロゼ」ということで、やはりイタリアワインの中でも注目を浴びている事が伺えます
用意されたのは全10種類。
ほとんどの生産者がグレラ85%、ピノ・ネロ15%のブレンドでした。
もちろん生産者ごとの違いはあれど、基本的な味わいとしてはグレラの特徴である白桃や白い花、林檎やハーブといった爽やかなトーンが主軸にあり、そこにラズベリーやスグリ、木いちごといった赤い果実の甘酸っぱさがフワッと香るイメージ。
食事は比較的何でも合わせやすいオールマイティな印象ですが、特にエビなどの甲殻類やサーモンなどの魚介類には最適。
天ぷらにもよく合いそうです。
あと注目すべきは残糖度。
ロゼに限る話ではありませんが、最近は残糖度が低めのBrutが人気のようです。
今回も10種類中6種類がBrut表記でした。
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Brut
/ Le Rughe
1リットル当たりの残糖度6g
Prosecco DOC Rose Treviso Millesimato 2020 Brut
/ Antonio Facchin & Figli
1リットル当たりの残糖度7.5g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Brut “Tor Se”
/ La Toedera
1リットル当たりの残糖度8g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Brut “Il Fresco”
/ Villa Sandi
1リットル当たりの残糖度10g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Brut
/ Biancocavigna
1リットル当たりの残糖度11g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Brut
/ Tosti
1リットル当たりの残糖度12g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Extra dry
/ Il Colle
1リットル当たりの残糖度12g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Extra dry “Diamante”
/ Cantina di Beato Bartolomeo da Breganze
1リットル当たりの残糖度13g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Extra dry
/ Perlino
1リットル当たりの残糖度15g
Prosecco DOC Rose Millesimato 2020 Extra dry
/ La Marca
1リットル当たりの残糖度17.8g
プロセッコが人気の要因の一つに、残糖度が高めのExtra dryの柔らかい甘めの口当たりがフルーティで、食前酒に最適という事が背景にありましたが、最近は食中酒としても楽しまれることが多く、より酸が高く感じられてスッキリした口当たりになるBrutが多くなってきているようです。
私もどちらかというとスッと飲めて万能感があるBrutを好んでましたが、プロセッコらしい白桃やフローラルなニュアンスをより楽しむならExtra dryの方が良いと実感。
決して甘いわけではなく、糖度の裏にしっかりと高い酸度がある事によって、スッキリとした飲み口に仕上がっているのも魅力的。
皆様も糖度などを意識して飲んでみると、プロセッコの新たな魅力が発見できるかもしれませんよ!
ぜひ色々飲み比べてみてくださいね。
ご購入はこちらから
下記からイルカーリチェおすすめのプロセッコをご注文頂けます。
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近日ロゼ・プロセッコも掲載いたします。
プロセッコ トレヴィーゾ Extra dry / マルスレット社
スパークリングワイン
プロセッコ ヴァルドッビアデネ スーペリオーレ ”サン・ボルド” Brut / マルスレット社
プロセッコ ヴァルドッビアデネ スーペリオーレ Brut Natule / シルヴァーノ・フォラドール社