シチリア島東部に位置するエトナ山。今やワインの世界的産地であることは知っていますか?2019年に来日したマスターオブワインのジャンシス・ロビンソン氏が注目のイタリアワインの産地として挙げています。プラネタ、タスカダルメリータ、ドンナフガータなども進出している「エトナ」の選び方、おすすめワイナリーについて解説します。
エトナはどんなところ?
東部のカターニアという町からほど近くのエトナ山。標高は3350メートル。日本人として富士山のようなシンパシーを感じますね。ブドウ栽培エリアの標高はだいたい300~1200メートルくらいです。昼夜の寒暖差が厳格な酸を生み出し、火山性土壌がもたらす強いミネラルが感じられます。だから典型的なシチリアワインの果実味豊かな味わいとは違うのです。
主な栽培品種
ネレッロマスカレーゼ
エトナロッソのメイン品種
スミレのアロマ、中程度の酸とタンニンがある。色調はそれほど濃くはない。エトナ山北部のランダッツォではタンニンが厳格になる。
ネレッロカプッチョ
エトナロッソの補助品種
色調の濃度、果実感のバランスを取るために使われる。
カッリカンテ
エトナビアンコのメイン品種
成熟は晩期型。非常に強い酸とミネラルがある。エトナ産東部のミロで作られるカッリカンテからは最上級のエトナビンアンコが生まれる。近年では、より成熟する条件のいい畑で栽培されることでカタラットの補助が必要なくカッリカンテ100%でも若いヴィンテージから楽しめるものが増えている。
おすすめワイナリー5選&ワイン10選
1:Benanti ベナンティ
「エトナ歴史はベナンティの歴史」1990年代、当時全く注目されていなかったエトナ固有の味わいを表現した。
ミロのブドウから作られる最高峰のエトナビアンコ ”ピエトラマリーナ”
※一年に一度の入荷のため、在庫状況が非常に不安定です。
一部樹齢100年を超えるプレフィロキセラの畑から作られる力強いエトナロッソ ”セッラ・デッラ・コンテッサ”
※一年に一度の入荷のため、在庫状況が非常に不安定です。
輸入元:テラヴェール
2:Alcantara アルカンターラ
個性的なラベルでも味わいは「本命のエトナワイン」
アルカンターラは北部ランダッツォに流れる川の名称で、アラブ語で「橋」という意味である。
エトナビアンコ ”オッキ・ディ・チュミ”
エトナロッソ ”ル・ヴェル・ピアチリ”
シチリア
輸入元:パンタレイ
3:Graci グラーチ
ガヤとのジョイントベンチャーで話題のグラーチ。ベーシックなエトナでも十分美味しい。彼らのワインの特徴はなんと言っても「繊細さ」
しばしはブルゴーニュ、バローロ、バルバレスコに例えられる。
エトナビアンコ
シチリア
エトナロッソ
シチリア
輸入元:テラヴェール
4:Sclio シリオ
北東部リングアグロッサにて創業1815年の老舗ワイナリー。現在のオーナーは6代目。2019年ヴィンテージは冷涼さと厳格さが備わり、もともとエトナの中でも親しみやすい味わいであったが、現在そのバランスが素晴らしいものになっている。
エトナビアンコ”ヴァッレ・ガルフィーナ”
アルトリヴェッロ
エトナロッソ”ヴァッレ・ガルフィーナ”
アルトリヴェッロ
輸入元:アルトリヴェッロ
5:La Calabretta ラ・カラブレッタ
年間12000本が生産する家族経営のワイナリー。ブドウ樹の平均樹齢は70〜80年と古いため、若いヴィンテージでは良さが感じ取りにくい。そのため、ワイナリーで数年飲み頃を待ってリリースされることが魅力の一つ。そのことを考えるとプライスパフォーマンスも非常に良い。
2019 カッリカンテ
いわゆるエトナビナンコである。このワイナリーはDOCエトナを名乗っていないため、単に「カッリカンテ」という名称である。開けたてはやや硬い印象のため、大きめのグラスで2〜3日かけて、少しずつゆっくりと飲むことをおすすめします。
2010 ヴェッチエ・ヴィーニェ
ネレッロマスカレーゼ100%。ワイン名は「古いブドウ畑」の意味。高樹齢ならではの凝縮感が楽しめる。
輸入元:ヴィナイオータ
最後に合わせる料理について
シチリアワインは海のイメージですが、エトナは山のワインです。近くには純血の黒豚「マイヤーレ・ディ・ネブロディ」はしっかりした味わいの地元の名産品です。豚肉なのでサラミにしたり、ローストしたりと、地元ではよく食べられています。エトナと豚肉の相性はバッチリです。他には「牡蠣」が意外にもよく合います。互いのミネラル感が絶妙にマッチした焼き牡蠣とエトナロッソに組み合わせは病みつきになります。是非お試しください。